スキルシート

経験を“案件に伝わる言葉”に翻訳するスキルシートの書き方

Relay編集部12分

この記事の要点

  • スキルシートで損をするのは“盛りすぎ”ではなく“ぼかしすぎ”。日常語のままだと担当工程が案件先に伝わらない
  • コツは「誰と話したか」ではなく「何を決めたか・何を作ったか」を書くこと。主語を成果に寄せる
  • やっていないことは書かない。翻訳とは、やった工程を案件先の語彙に置き換えて粒度を整えること

スキルシートで案件に通らない原因は、経験不足よりも「書き方でぼかしてしまっている」ことのほうが多いです。やった作業を日常の言葉のまま書くと、案件先には担当工程が伝わりません。

大切なのは盛ることではなく、やった工程を案件先に伝わる言葉へ「翻訳」して粒度を整えること。この記事では、具体的な言い換え例とともに、その手順を解説します。

なぜ「翻訳」が必要なのか

たとえばスキルシートにこう書いてあったとします。

ユーザーと打ち合わせして、調べて、作って、直した。

あなたがやったことは事実でも、案件先には「具体的に何を担当できる人なのか」が伝わりません。これを案件先の語彙に翻訳すると、印象がまったく変わります。

要件ヒアリングと仕様調整を行い、技術調査のうえ設計・実装し、障害対応・改修まで担当した。

同じ経験でも、後者のほうが「任せられる工程の幅」が明確です。これが翻訳の効果です。

そのまま使える 翻訳テーブル

日常語を、スキルシートで使われる工程の言葉へ置き換える対応表です。

元の表現(日常語)言い換え例(案件先に伝わる言葉)
ユーザーと話した要件ヒアリング / 仕様調整 / 顧客折衝
調べた技術調査 / 原因調査 / 影響調査
作った設計 / 実装 / 構築 / 機能開発
直した改修 / 修正 / 障害対応
まとめたドキュメント整備 / 資料作成 / 手順書作成
試した検証 / 評価 / PoC実施
AIにコードを書いてもらったAI活用による実装支援(+自分が担当した工程を併記)
デプロイした本番リリース / 無停止デプロイ / リリース手順整備
障害当番をしたオンコール対応 / 一次切り分け / 復旧・報告
速くした性能改善 / キャッシュ設計 / クエリ最適化
ログイン機能を作った認証実装 / OAuth・OIDC / セッション設計
APIを作ったAPI設計・実装 / 外部連携 / レート制御
工数を出した見積り / 開発計画 / リスク整理
技術を選んだ技術選定 / 比較検討 / アーキテクチャ設計
ログを見ていた監視・可観測性 / ログ基盤整備 / アラート設計
移したデータ移行 / システム移行 / リプレース

翻訳の3つのコツ

1.「誰と話したか」でなく「何を決めたか」を書く

「営業と打ち合わせ」ではなく「要件を確定させた」「仕様を調整した」。主語を、相手ではなくあなたが動かした成果に寄せると、担当範囲が伝わります。

2. 工程を分解して、担当した範囲を明示する

「開発した」だけでは、設計から関わったのか実装だけかが分かりません。要件定義 / 設計 / 実装 / テスト / 運用のうち、どこを担当したかを分けて書きましょう。関わった工程の幅は、そのまま任せられる案件の幅になります。

3. 盛らない。やっていないことは書かない

翻訳は、事実の粒度を整える作業です。立派に見せるために担当していない工程を足すと、参画後にミスマッチが起きます。やったことを、正確な言葉で——これが信頼につながります。

作業内容の言い換え 実例集(❌→⭕)

よくある作業を、案件先に伝わる粒度へ翻訳した実例です。⭕はモデル文なので、「◯名」「◯秒→◯秒」「約◯万件」など自分の実績の数字を入れて使ってください。ここでも原則は同じで、盛るのではなく“やった工程を正確な言葉で”です。

「バグを直した」→ こう書く

❌ バグを直した
⭕ 決済処理の不具合を原因調査のうえ改修し、再発防止のテストを追加

原因と再発防止まで書くと、運用も任せられる人だと伝わります。

「障害に対応した」→ こう書く

❌ 障害に対応した
⭕ 本番障害のインシデント対応を担当し、原因調査・復旧から恒久対策まで実施

復旧だけでなく恒久対策まで書くと、運用を安心して任せられます。

「管理画面を作った」→ こう書く

❌ 管理画面を作った
⭕ 管理画面の基本設計から実装までを担当(React / TypeScript)

担当工程と技術を書くと、即戦力かどうかが判断しやすくなります。

「テストした」→ こう書く

❌ テストした
⭕ テスト設計から単体・結合テストまで担当し、リリース前の品質を担保

テストの粒度を書き分けると、品質保証の幅が伝わります。

「環境を作った」→ こう書く

❌ 環境を作った
⭕ CI/CDパイプラインを整備し、ビルド・デプロイの自動化で手作業を削減

技術と効率化の効果を書くと、開発基盤を任せられると伝わります。

「監視していた」→ こう書く

❌ 監視していた
⭕ 監視・アラートを整備し、障害を早期検知できる運用体制を構築

仕組みを整えたと書くと、運用設計まで任せられると伝わります。

「リリースした」→ こう書く

❌ リリースした
⭕ 週次のリリース作業を担当し、デプロイ手順の整備で本番反映を安定化

頻度と手順を書くと、安定運用の力が伝わります。

「データを移した」→ こう書く

❌ データを移した
⭕ オンプレからクラウドへのデータ移行を設計・実施(規模を明記)

規模を書くと、移行を任せられる経験値が伝わります。

「レビューした」→ こう書く

❌ レビューした
⭕ プルリクのコードレビューを担当し、設計・可読性の観点で改善提案を実施

見た観点と改善の成果を書くと、品質を任せられる人だと伝わります。

「仕様を決めた」→ こう書く

❌ 仕様を決めた
⭕ 機能要件を整理して仕様を策定し、設計方針をチームで合意形成

決めた範囲を書くと、上流から関われる人だと伝わります。

「デプロイした」→ こう書く

❌ デプロイした
⭕ 本番デプロイを担当し、Blue-Greenでの無停止リリース手順を整備

手順や無停止など“どう出したか”を書くと、安定リリースを任せられると伝わります。

「ログイン機能を作った」→ こう書く

❌ ログイン機能を作った
⭕ 認証基盤をOAuth2/OIDCで実装し、トークン管理とセッション設計を担当

方式と設計を書くと、セキュリティ領域も任せられると伝わります。

「APIを作った」→ こう書く

❌ APIを作った
⭕ REST APIの設計・実装を担当し、外部サービス連携とレート制御を実装

設計と連携の勘所を書くと、統合を任せられると伝わります。

「負荷テストをした」→ こう書く

❌ 負荷テストをした
⭕ 想定ピークで負荷試験を実施し、ボトルネックを特定してDB接続数を見直し

何を測り何を直したかまで書くと、性能設計に関われると伝わります。

「AIにコードを書いてもらった」→ こう書く

❌ AIにコードを書いてもらった
⭕ AIを活用して実装を進め、生成コードのレビュー・修正・テストを担当

AIを使った事実より「自分が品質を担保した点」を書くと信頼されます。

「アクセス解析を入れた」→ こう書く

❌ アクセス解析を入れた
⭕ GA4を設計・導入し、主要導線の計測基盤を構築

何を測る設計かを書くと、データ活用まで任せられると伝わります。

「コンバージョンを測れるようにした」→ こう書く

❌ コンバージョンを測れるようにした
⭕ 登録完了・問い合わせをGA4のキーイベントとして計測し、CVを可視化

何をCVに定義したかを書くと、計測設計を任せられると伝わります。

「スマホ対応した」→ こう書く

❌ スマホ対応した
⭕ レスポンシブでモバイル用ナビ(ハンバーガー)を実装し、狭幅での回遊性を改善

対象と改善点を書くと、UXまで見られる人だと伝わります。

「表示崩れを直した」→ こう書く

❌ 表示崩れを直した
⭕ モバイルでの横スクロール(はみ出し)の原因を特定し、レイアウトを修正

原因特定を書くと、レスポンシブを任せられると伝わります。

「デザインを揃えた」→ こう書く

❌ デザインを揃えた
⭕ 共通ヘッダー/フッターに切り出して全ページのUIを統一し、保守性を向上

共通化の狙いを書くと、設計判断ができる人だと伝わります。

「SEOを直した」→ こう書く

❌ SEOを直した
⭕ robots/sitemap/canonical/構造化データ/LCPなど技術SEOの指摘を一括で改修

施策を具体に列挙すると、技術SEOを任せられると伝わります。

「セキュリティ対応した」→ こう書く

❌ セキュリティ対応した
⭕ 主要なセキュリティヘッダーを設定し、既知のリスクを低減

対象を具体に書くと、堅牢化を任せられると伝わります。

「メールを送る機能を作った」→ こう書く

❌ メールを送る機能を作った
⭕ フォーム送信をトリガに自動メール送信を実装し、初動連絡を仕組み化

トリガと効果を書くと、業務フローまで作れる人だと伝わります。

「ビルドエラーを直した」→ こう書く

❌ ビルドエラーを直した
⭕ フレームワークのメジャー更新に伴うAPI変更へ追従し、型・ビルドを修正

追従の背景を書くと、バージョン移行を任せられると伝わります。

「定期実行を作った」→ こう書く

❌ 定期実行を作った
⭕ 常駐プロセス内にジョブスケジューラを実装し、定期処理を安定運用

実装方式を書くと、バッチ運用を設計できると伝わります。

翻訳したら、案件につなげる

スキルシートの全体像や項目の作り方は スキルシート完全ガイド にまとめています。形から整えたい方は、Relayの無料登録でスキルシートのテンプレートも配布しています。

整えたスキルシートをRelayにご登録いただければ、経験に合う案件を担当者がメールでご紹介します。面談なし・営業電話なし。「次の一本」を切らさない準備として、早めにスキルシートを“伝わる”形にしておきましょう。

よくある質問

経験を“翻訳”するとは、話を盛ることですか?
いいえ、逆です。盛るのではなく、やった工程を案件先に伝わる正確な言葉へ置き換えて粒度を整えることを指します。やっていないことは書きません。
AIにコードを書いてもらった作業は書いてよいですか?
書いて構いません。「AI活用による実装支援」のように表現し、自分が担当した工程(要件整理・レビュー・修正・結合など)を併せて書くと、実際の貢献が伝わります。
どこまで具体的に書けばいいですか?
案件先の担当者が「この人に任せられるか」を判断できる粒度が目安です。担当工程・対象規模・使った技術・結果を、可能な範囲で数字を添えて書きます。

監修

馬込 浩株式会社KOPS 代表取締役

業務システムの開発・受託に携わり、フリーランス/業務委託エンジニアの調達・案件マッチングの実務に通じる。Relayの記事は、案件先に「伝わる」スキルシートと、案件を切らさない働き方の観点から監修しています。

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